今年の夏は猛暑。連日三十度を越す日が・・・

阿木燿子からのメッセージ

2004月10月1日(金) 更新

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長野武石村。
合宿をした所です。
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コーラス練習の様子です。(9月のコーラス合宿)
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9月のコーラス合宿のメンバーと。
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9月のコーラス合宿のメンバーと。

今年の夏は猛暑。連日三十度を越す日が続きました。その暑さに釣られるように、私もホットな一夏を過ごしました。というのも、初めて舞台なるものにチャレンジしたのです。

 場所は東京の三越劇場。ここはデパートの三越の中にあり、商業演劇の劇場としては老舗と言って良いと思います。

 催し物は『向田邦子劇場 隣りの女』です。向田さんが亡くなられて23年経ちますが、いまだに根強いファンがいることから向田邦子ワールドを、三越劇場で再現しようという企画です。

 私はバーのママ役で、名前は柳峰子。名取裕子さん演じる主人公の隣りの部屋に住んでいます。

 この峰子はとても人迷惑な女性です。常識がなく、ゴミ出しは良い加減だし、昼間から愛人を部屋に連れ込むし、といった感じです。

 最初にこのお話を頂いた時、私はお断りするつもりでした。私には無理だと思ったのです。映像と違って舞台では発声が大事です。テレビや映画の撮影現場では、録音部さんが、どんな小さな囁き声でも拾ってくれます。でも舞台はそうはいきません。地声がきちんとお客様に届かなければ、役者としては失格です。私はとくに、そういったトレーニングを受けているわけではないので、とうてい務まらないだろう、と二の足を踏んだのです。

 そんな私の背中を押してくれたのは、主人の一言でした。こんな話が来ているけれど、と相談すると、やってみれば、何事も経験だよ、とアドバイスしてくれました。 稽古に二週間、本番二週間。やり慣れないことだったので、緊張の連続でしたが、どうにか無事に楽日を迎えることが出来ました。楽しいというところまでは辿り着けませんでしたが、体を使って(とくに声を使って)直接、お客様に何かを伝えるということは、どういうことなのか、という片鱗くらいは感じられました。

“声で伝える”ということでもうひとつ。私はコーラスグループを結成しているのですが、自宅の稽古場に集って貰って練習を始めてから、早一年半。今ではメンバーも三十人を超えました。

 そろそろ発表会をということで九月中旬に合宿を行いました。場所は長野。密度の濃い練習と、バーベキューあり、露天風呂ありのスケジュールで、大いに盛り上がりました。民宿に泊まったりして、みんな、学生時代に戻ったようで、良い年をした大人達がはしゃいでました。その成果は来年の四月八日、欅ホールでお聴かせできると思います。

 ちなみに私のパートはソプラノ。隣りに居る音程のしっかりした女性に助けられて、どうにか歌っています。

 それにしても、声を出すのは生きている証。なるべく大きく、けれども優しく、そして、きちんと何かをメッセージしてゆけたら……。

 合宿の余熱も冷めやらぬ今、そんなことを考えています。

阿木燿子